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株式会社と合同会社の違いとは?日本で起業するならどちらを選ぶべきか(2025年版)

株式会社と合同会社について、設立費用、手続、税務、経営・管理ビザへの影響を比較し、日本での起業時にどちらを選ぶべきかを整理します。

出入国在留管理庁公開資料に基づいて作成

日本で起業しようとすると、最初に迷いやすいのは「どの事業をするか」よりも、どの会社形態で設立するかという点です。

株式会社にするべきか、それとも合同会社にするべきか。名称は知っていても、何がどう違うのか、自分にとってどちらが有利なのかまで明確に理解している方は多くありません。

この記事では、両者の違いを設立費用、手続、税務、ビザへの影響、実務上の使いやすさまで整理して解説します。読み終えるころには、自分に合った会社形態を判断しやすくなるはずです。

日本で会社を設立する全体の流れについては、日本での会社設立完全ガイドをご覧ください。この記事では、会社形態の選び方に絞って解説します。


日本の会社形態には何があるか

日本の会社法では、会社形態として次の4種類が定められています。

  1. 株式会社(かぶしきがいしゃ)
  2. 合同会社(ごうどうがいしゃ)
  3. 合名会社(ごうめいがいしゃ)
  4. 合資会社(ごうしがいしゃ)

実務上、合名会社と合資会社はほぼ選択肢から外して問題ありません。理由は、少なくとも一部の社員が無限責任を負うためです。つまり、会社に問題が生じた場合に、出資者個人の財産で債務を負担しなければならない可能性があります。起業家にとってはリスクが大きく、現在はほとんど使われていません。

日本で新設される会社のうち、株式会社と合同会社で99%以上を占めています。実際に検討すべきなのは、基本的にこの2つです。

なお、合同会社は2006年の新会社法施行によって導入された比較的新しい会社形態です。歴史は長くありませんが、近年は急速に増えています。新設法人数に占める割合も3割を超えており、現在も増加傾向です。Apple Japan、Amazon Japan、Google Japanなどの日本法人も、実は合同会社です。


株式会社と合同会社の主な違い

まずは全体像を一覧で確認します。詳細は後半で順に説明します。

比較項目株式会社合同会社
設立費用(法定費用)約20万〜25万円約6万〜10万円
設立期間2〜3週間1〜2週間
定款認証必要(公証人の認証)不要
最高意思決定機関株主総会社員総会
代表者の肩書代表取締役代表社員
経営の柔軟性会社法上の制約が比較的多い非常に柔軟で定款の自由度が高い
対外的な信用力高い中程度(近年は改善傾向)
利益配分出資比率に応じる定款で柔軟に定められる
決算公告義務ありなし
持分・株式の移転可能(制限設定も可能)原則として全社員の同意が必要
上場の可否可能不可

設立費用は合同会社の方が安い

合同会社が選ばれる最大の理由の1つが、株式会社より10万円以上安く設立できることです。費用の詳細は後述します。

手続は合同会社の方が簡単

株式会社は、設立時に定款認証が必要です。公証役場の予約や書類準備が必要になるため、この工程だけで1週間程度かかることもあります。合同会社は定款認証が不要で、法務局への設立登記申請に進めます。

経営の柔軟性は合同会社が強い

合同会社は定款で定められる範囲が広く、利益分配、意思決定方法、経営権の設計などを出資者間で柔軟に決められます。

一方、株式会社は、取締役の任期、株主総会の開催、決議手続など、会社法上の運営ルールがより厳格です。小規模会社では簡素化できる部分もありますが、それでも合同会社よりは複雑です。

信用面では株式会社が有利

日本では、依然として「株式会社」という名称の方が信用されやすい傾向があります。合同会社の認知度は上がっていますが、特に伝統産業や大企業では、合同会社に対して慎重な見方が残っている場面もあります。

そのため、主要顧客が日本企業であるB2B事業では、この差が影響することがあります。反対に、B2C、ITサービス、越境ECのような分野では、会社形態を気にされないことも少なくありません。

利益配分の仕組みが違う

株式会社では、利益配分は基本的に株式の保有比率に従います。60%出資した人が60%の配当を受けるという考え方です。

合同会社では、定款で自由に利益配分を定めることができます。たとえば、資金を多く出した人より、技術や営業面で大きく貢献する人に厚く配分するといった設計も可能です。これは株式会社では原則としてできません。

決算公告義務の有無

株式会社は毎年、決算公告を行う必要があります。一般的には官報に掲載し、費用は年間約6万円です。

合同会社にはこの義務がありません。年間6万円は小さく見えても、数年単位では一定の固定コストになります。


設立費用の詳細比較

最も気になる点なので、まず表で整理します。

費用項目株式会社合同会社
定款認証手数料30,000〜50,000円 ※不要
定款の印紙税40,000円(電子定款なら不要)40,000円(電子定款なら不要)
登録免許税150,000円(または資本金×0.7%の高い方)60,000円(または資本金×0.7%の高い方)
印鑑作成費5,000〜15,000円5,000〜15,000円
登記事項証明書等2,000〜3,000円2,000〜3,000円
法定費用合計約202,000〜248,000円約67,000〜118,000円

※ 2022年以降、定款認証手数料は資本金額に応じた段階制となっており、資本金100万円以下は30,000円、100万円超300万円以下は40,000円、300万円超は50,000円です。

差額はおおむね10万〜15万円です。

補足として、次の点も押さえておくと実務で役立ちます。

  • 電子定款: 電子定款を使えば4万円の印紙税が不要になります。現在は多くの司法書士事務所が対応しています。
  • 司法書士報酬: 設立手続を司法書士に依頼する場合、株式会社は8万〜15万円程度、合同会社は5万〜10万円程度が目安です。
  • 資本金: 資本金そのものは設立費用ではなく、会社に入れる運転資金です。経営・管理ビザを申請する場合は、通常500万円以上が必要と考えられてきました。

最も費用を抑える方法で計算すると、合同会社は「電子定款 + 自分で手続」の場合、法定費用は最少で約6万円です。株式会社でも、最低約20万円前後はかかります。


経営・管理ビザ申請に会社形態は影響するか

これは多くの外国人起業家が気にする論点ですが、結論は明確です。

出入国在留管理庁は、株式会社と合同会社を区別して扱っていません。株式会社の方がビザを取りやすい、ということはありません。

入管が見るポイント

経営・管理ビザの審査では、主に次の点が確認されます。

  1. 事業が実在し、継続性があるか
  2. 適切な事業所が確保されているか
  3. 資本金または投資総額が基準を満たしているか
  4. 申請人が実際に経営・管理業務に従事するか

これらは会社形態とは無関係です。株式会社でも合同会社でも、審査基準は同じです。

経営・管理ビザの要件全体については、経営・管理ビザの申請条件を徹底解説もご参照ください。

実務上の感覚

実際の許可実務でも、株式会社と合同会社で許可率に明確な差はありません。審査で重視されるのは、事業計画書の内容に現実性があるか、収支予測が妥当か、事業を本当に行う意思と準備があるかといった点です。会社形態そのものが有利不利を左右するわけではありません。

事業計画書の作り方については、事業計画書作成ガイドをご覧ください。

資本金要件

株式会社でも合同会社でも、経営・管理ビザに関する資本金要件の考え方は同じです。

  • 従来の基準: 資本金500万円以上
  • 代替基準: 常勤職員2名以上の雇用

実務では、ほとんどの申請人が資本金要件で準備してきました。ただし、2025年10月からは新基準で3000万円へ引き上げられているため、最新の運用を前提に確認する必要があります。資金は実際に払い込まれた真実の資金であることが求められ、出所の説明も重要です。詳細は経営・管理ビザの申請条件を徹底解説で確認してください。

ビザ関連の費用全体は、経営・管理ビザの費用ガイドに整理しています。


税務面で違いはあるか

税務上の差は、ほとんどありません。

ここは誤解されやすい部分なので、明確にしておきます。

法人税

法人税は利益額を基準に課税され、会社形態では変わりません。株式会社でも合同会社でも、一般的には次のように整理されます。

  • 年800万円以下の所得部分: 15%(中小法人の軽減税率)
  • 年800万円超の所得部分: 23.2%

これに法人住民税や法人事業税などが加わり、実効税率は利益水準に応じておよそ22%〜36%程度になります。両者に差はありません。詳しくは日本で起業する人のための税務ガイドをご覧ください。

消費税

消費税の課税関係も会社形態によって変わりません。新設法人で資本金が1,000万円未満であれば、原則として最初の2事業年度は免税となる考え方がありますが、2023年10月開始のインボイス制度による影響もあるため、個別確認が必要です。

法人住民税の均等割

利益が出ていなくても毎年発生する法人住民税の均等割も、株式会社・合同会社で同じです。東京都では最低額がおおむね年7万円です。

実質的な違いは決算公告コスト

前述のとおり、株式会社には決算公告義務があり、官報掲載費用として年6万円前後がかかることがあります。合同会社にはありません。厳密には税金ではありませんが、固定的なコンプライアンスコストとしては差が出ます。

つまり、税負担そのものは会社形態で変わらないと考えて差し支えありません。 税務全体の基本は、日本で起業する人のための税務ガイドでまとめています。


株式会社を選ぶべきケース

次のような場合は、株式会社を優先して検討する価値があります。

1. 将来、資金調達を考えている

VCやエンジェル投資家から出資を受ける可能性があるなら、株式会社が基本です。株式会社は株式を発行できるため、第三者割当増資など標準的な投資スキームが使えます。合同会社でも増資は可能ですが、投資家保護や権利設計の面で株式会社の方が一般的です。

日本のVCは、通常、合同会社への投資に積極的ではありません。

2. B2Bで信用力が重要

主な顧客が日本企業、とくに中堅企業や大企業である場合、株式会社の方が営業上有利に働くことがあります。中には、取引先の会社形態を事実上の選定条件として見る企業もあります。法律上の差別ではなく、日本の商慣習に基づく実務上の差です。

3. 将来的に上場を視野に入れている

合同会社は上場できません。IPOを見据えるなら、最初から株式会社にしておく方が合理的です。後から組織変更することもできますが、手間とコストがかかります。

4. 大企業、銀行、補助金などとの関係を重視する

銀行融資、補助金申請、大型案件の入札などでは、株式会社の方が印象面で有利に働くことがあります。法的に合同会社が不利というわけではありませんが、現場では名称の印象が影響することがあります。

5. 共同創業で出資関係を明確にしたい

複数の創業者がいる場合は、株式比率で権利関係を整理できる株式会社の方がわかりやすいことがあります。将来、株式譲渡や一部売却を検討する場合も、制度として整っています。


合同会社を選ぶべきケース

反対に、次のような場合は合同会社の方が合理的です。

1. 個人起業または小規模事業

一人会社や少人数チームであれば、合同会社の低コストと簡便さが大きな強みになります。浮いた資金を広告費や設備投資に回した方が効果的なことも多いです。

2. 初期費用をできるだけ抑えたい

来日直後で資金に余裕がない場合でも、合同会社なら比較的低コストで会社を立ち上げられます。事業が軌道に乗ってから株式会社へ変更することも可能です。

3. IT、コンサル、翻訳、フリーランス型の事業

Web制作、デザイン、翻訳、コンサルティング、越境ECなどでは、顧客が会社形態を重視しないケースが少なくありません。こうした事業では、合同会社で十分なことが多いです。

Apple、Amazon、Googleの日本法人も合同会社であるため、会社形態そのものが劣っているわけではありません。

4. できるだけ早く設立したい

合同会社は定款認証が不要な分、準備から登記完了まで1〜2週間程度で進むことがあります。時間を優先するなら有力な選択肢です。

5. 出資比率と異なる利益配分をしたい

共同創業者間で、出資額ではなく役割や貢献度に応じて利益を配分したい場合、合同会社の柔軟性が生きます。


合同会社から株式会社へ変更できるか

可能です。 日本ではこれを組織変更と呼び、会社法で明確に認められています。

変更手続の流れ

大まかな流れは次のとおりです。

  1. 組織変更計画書を作成する
  2. 総社員の同意を得る
  3. 債権者保護手続を行う(官報公告 + 個別催告、最低1か月)
  4. 法務局で変更登記を申請する
  5. 登記完了により、合同会社は終了し、株式会社へ移行する

費用

項目金額
登録免許税(合同会社解散)30,000円
登録免許税(株式会社設立)30,000円
官報公告費約30,000〜40,000円
司法書士報酬約80,000〜150,000円
合計約170,000〜250,000円

期間

着手から完了までは、通常1.5〜2か月程度かかります。特に、債権者保護手続の公告期間は最低1か月必要で、短縮できません。

注意点

  • 法人番号は変わりません: 組織変更後も法人番号は同一で、税務上も同じ法人として扱われます。
  • 契約や許認可の変更対応が必要です: 法人格は継続していても、商号や会社形態が変わるため、銀行口座、契約書、許認可関係の名義変更が必要になります。
  • ビザへの直接の悪影響は通常ありません: 組織変更自体で経営・管理ビザが不利になるわけではありませんが、次回更新時には新しい登記事項証明書の提出が必要になることがあります。必要書類は経営・管理ビザ更新の必要書類ガイドも参照してください。
  • 専門家に依頼する方が安全です: 組織変更は法的書類が多く、司法書士に依頼するのが一般的です。

逆に考えると、最初は合同会社で低コストに始めて、事業が伸びた段階で株式会社へ組織変更するという選択も十分合理的です。設立時点で迷う場合の現実的な戦略になり得ます。


よくある質問 FAQ

Q1: 合同会社は株式会社より格下ですか。

いいえ。合同会社は会社法上の正式な会社形態であり、法的地位は株式会社と同等です。Apple Japan、Amazon Japan、Google Japanも合同会社です。ただし、日本社会では株式会社の方が一般に認知されており、一部の業界では合同会社に対する先入観が残っていることがあります。

Q2: 経営・管理ビザ申請では、合同会社だと不許可になりやすいですか。

いいえ。そのような傾向はありません。入管が審査するのは、事業内容、資本金、事業所、経営実態などの実質面です。会社形態自体は本質的な判断要素ではありません。詳細は経営・管理ビザの申請条件を徹底解説をご覧ください。不許可になりやすい典型例は経営・管理ビザが不許可になる主な理由にまとめています。

Q3: 一人でも株式会社を設立できますか。

はい、可能です。2006年の会社法施行以降は、一人で株式会社を設立し、自分が唯一の取締役兼代表取締役になることができます。監査役や複数取締役は必須ではありません。

Q4: 合同会社の代表社員と、株式会社の代表取締役は何が違いますか。

会社を代表して契約を締結する権限という意味では、法的効力に大きな違いはありません。主な違いは肩書です。株式会社では「代表取締役」、合同会社では「代表社員」が登記上の正式名称になります。合同会社では「取締役」や「社長」を正式役職として登記できませんが、名刺等に「CEO」や「代表」と記載することは実務上行われています。

Q5: 資本金はいくらから設立できますか。

法律上は、株式会社も合同会社も1円から設立可能です。ただし、経営・管理ビザを申請するのであれば、2025年10月以降の新基準では3000万円が前提となります。従来の500万円基準だけを前提に判断しないよう注意してください。また、資本金が少なすぎると、銀行口座開設や対外信用にも影響することがあります。詳しくは日本での銀行口座開設ガイドをご覧ください。

Q6: 外国人でも合同会社の代表社員になれますか。

はい、可能です。外国人でも、合同会社の代表社員や株式会社の代表取締役に就任できます。ただし、日本国内に住所を有する代表者を求められるかどうかは、時期や法務局の運用により実務上の確認が必要です。事前に専門家へ確認した方が安全です。

Q7: 合同会社でも従業員を雇えますか。

はい。雇用に関して株式会社との違いはありません。社会保険や労働保険の加入義務も同じです。

Q8: 会社設立後、家族滞在ビザを申請できますか。

可能です。経営・管理ビザを取得し、安定した収入があれば、配偶者や子どもについて家族滞在の申請を検討できます。これは会社形態とは無関係です。詳細は家族滞在ビザガイドをご覧ください。

Q9: 合同会社でも補助金や助成金を申請できますか。

はい。多くの補助金・助成金では、合同会社と株式会社は同様に扱われます。個別制度によって細かな要件差がある場合はありますが、一般論として合同会社だから不利ということはありません。

Q10: 将来、永住許可を目指す場合に会社形態は関係しますか。

関係しません。永住許可では、在留期間、納税状況、社会保険料の納付、法令順守などが重視され、会社形態は直接的な要素ではありません。経営・管理ビザから永住許可を目指す流れは、経営・管理ビザから永住許可へのガイドで整理しています。


まとめ

要点を簡潔に整理すると、次のとおりです。

  • 予算を抑えたい、個人起業、小規模運営、非B2B中心 → 合同会社が向いています
  • 資金調達、B2B、大企業との取引、長期的な拡大を重視 → 株式会社が向いています
  • まだ判断がつかない → まず合同会社で始めて、必要に応じて株式会社へ組織変更する方法もあります

どちらを選ぶにしても、本質的に重要なのは会社形態そのものではなく、事業を実際に継続できるかどうかです。会社形態はあくまで器であり、成果を左右するのは事業内容と運営の実力です。

日本での起業準備を進めている方は、経営・管理ビザ完全ガイド申請チェックリストもあわせて確認しておくと、全体像を整理しやすくなります。

免責事項: 本記事は2025年時点の日本法および実務運用を前提に整理した一般情報であり、法的助言ではありません。実際の会社設立やビザ申請については、司法書士または行政書士等の専門家へご相談ください。

📎 出入国在留管理庁公開資料に基づいて作成

最終更新:2026-03-02